前回の続きとして、今回は特にReceiptsの取得処理周りを見ていく。Receiptの取得処理はfast syncの時に呼ばれ、full syncでは呼ばれないというコメントがあるが、そこの動きがよくわかっていないので、該当コードがどうなっているかを解析する。
- ReceiptsPacket パケット受け取ってから
- func (d *Downloader) fetchParts について
- Receipts要求メッセージを送っている部分
- func (d *Downloader) fetchParts のfetchReceipts処理
- ReserveReceiptsの実態
- q.receiptTaskQueueにitemをpushしている箇所
- まとめ
ReceiptsPacket パケット受け取ってから
ReceiptsPacketを受け取ると以下を経て、最終的にchannelに対して配信される。
https://github.com/ethereum/go-ethereum/blob/v1.10.2/eth/downloader/downloader.go#L1964-L1967
https://github.com/ethereum/go-ethereum/blob/97d11b0187b4695ccf44e3b71b54155fe405a36f/eth/downloader/downloader.go#L2000-L2022
で、この後は非同期な処理になるためコードジャンプで追えない。なので、receiptChからメッセージを受け取っている部分を探してみると、どうやら以下のあたりで処理を行っているぽい。
https://github.com/ethereum/go-ethereum/blob/97d11b0187b4695ccf44e3b71b54155fe405a36f/eth/downloader/downloader.go#L1298-L1322
で、結局戻ってくるが、どうやらこの中のd.queue.DeliverReceipts(pack.peerID, pack.receipts)が受け取ったReceiptsパケットを保存している処理っぽい。
func (d *Downloader) fetchParts について
同Downloader内のfetch処理の以下の3つから呼ばれている。
- func (d *Downloader) fillHeaderSkeleton
- func (d *Downloader) fetchBodies
- func (d *Downloader) fetchReceipts
リモートピアからデータを受け取るためには、どのブロックのデータが欲しいのか?応答が正常化?タイムアウトしていないか?ユーザがキャンセルしていないか?などなどを処理しないといけない。
それらの処理を共通化しているのが、このfetchParts関数の様だ。
実際のデータパケットを受け取った時にそれをqueueにためておくのが、deliver func(dataPack) (int, error) となる。そのため、上記3つについて、それぞれこのdeliverに指定されている関数を見ていけば、具体的に何のデータを受け取って保存しているかがわかる。
が、今回はfull syncの場合にReceiptsの取得が呼ばれない仕組みを調べたいのでその部分を探す。
Receipts要求メッセージを送っている部分
Downloader#fetchReceiptsからコードを辿っていくと、Receiptsの要求メッセージを送っている部分は、以下の関数の部分となる。
https://github.com/ethereum/go-ethereum/blob/v1.10.2/eth/downloader/peer.go#L178-L196
最終的には、以下が呼ばれる。が、ここにはsyncModeによる切り替え処理は見当たらない。
https://github.com/ethereum/go-ethereum/blob/v1.10.2/eth/protocols/eth/peer.go#L500-L510
ということで、戻って、Downloader#fetchPartsの処理を詳しく見ていく。
func (d *Downloader) fetchParts のfetchReceipts処理
FetchRecipts関数はfetchPartsのfetch引数として話されている。なので、fetchが呼ばれている箇所を探すと以下となる。
https://github.com/ethereum/go-ethereum/blob/v1.10.2/eth/downloader/downloader.go#L1502
で、その少しうえで、requestがnullの場合はfetchが呼ばれてないことがわかる。
https://github.com/ethereum/go-ethereum/blob/v1.10.2/eth/downloader/downloader.go#L1490-L1492
では、そのrequestをどうやって取得しているのかというと、そのまた少しうえで、reserveから取得していることがわかる。
https://github.com/ethereum/go-ethereum/blob/v1.10.2/eth/downloader/downloader.go#L1482
また、このreserverが何者こについては、FetchReceiptsを見ると、d.queue.ReserveReceiptsであることがわかる。
https://github.com/ethereum/go-ethereum/blob/v1.10.2/eth/downloader/downloader.go#L1316-L1318
ReserveReceiptsの実態
d.queue.ReserveReceiptsからコードを追っていくと、最終的に、func (q *queue) reserveHeadersに行き着く。
で、この関数の中で*fetchRequestでnilを返している箇所を探すと以下の3つが見つかる。
https://github.com/ethereum/go-ethereum/blob/v1.10.2/eth/downloader/queue.go#L487-L489
https://github.com/ethereum/go-ethereum/blob/v1.10.2/eth/downloader/queue.go#L490-L492
https://github.com/ethereum/go-ethereum/blob/v1.10.2/eth/downloader/queue.go#L557-L559
三番目のsendについては、taskQueueのうち、以前に取得失敗した分を取り除いたリストなので、いずれにしてもtaskQueueのサイズが関係していることがわかった。このtaskQueueとはつまり、q.receiptTaskQueueのことなので、Queue#receiptTaskQueueに値を詰めている箇所を探す。
q.receiptTaskQueueにitemをpushしている箇所
receiptTaskQueueを探してみると以下の箇所が見つかった。
https://github.com/ethereum/go-ethereum/blob/97d11b0187b4695ccf44e3b71b54155fe405a36f/eth/downloader/queue.go#L320-L328
コードにある様に、syncModeがFastSyncの場合だけreceiptTaskQueueにセットしているのでここで正解っぽい。
なお、もう一つpushしている箇所が見つかったが、Revoke関数なのでここは関係ないと思う。
https://github.com/ethereum/go-ethereum/blob/v1.10.2/eth/downloader/queue.go#L618
まとめ
FastSyncの時だけ、Receiptsの取得処理が走るのは、そもそもReceiptsを要求するメッセージを送るための、receiptTaskQueueが他のモードの場合は常に空になっているから。